「世帯分離」のメリット・申請方法

生活保護の受給資格の1つに、”世帯の収入が最低生活費に満たないこと”という条件があります。
生活に困窮しているにも関わらず、生活保護が受けられない方への負担軽減措置として「世帯分離」という制度があります。

本記事では、現状では生活保護の受給資格が無い方向けに、世帯分離の基準について詳しく解説しております。
受給資格が無い方でも、世帯分離を行う事で生活保護を受給出来る可能性があるので、是非ご一読ください。

世帯分離のメリット

世帯分離とは、元々同一世帯であった人達の生計を分けることを意味します。
生計を分けることにより世帯の収入が最低生活費以下となれば、生活保護の受給が可能となります。
そのため、世帯分離を行う事は、生活困窮世帯にとって大きなメリットとなる場合が多いです。

世帯分離の手続き

世帯分離の手続きは、住民登録をしている自治体の役所で行います。本人・世帯主が申請可能で、代理人が行う場合は委任状が必要となります。

【必要な持ち物】
 ・本人確認書類
 ・印鑑

【手続き方法】
 必要な持ち物を持ち、役所の窓口で「住民異動届」を記入し、申請します。

上記の手続きにより住民票上の手続きは完了です。

世帯分離が認められる基準

生活保護を受給するには、住民票上で世帯分離を行うだけでは不十分です。福祉事務所が生計が別々だと判断する必要があります。
知人との同居やシェアハウスなどについては、住民票上の世帯分離のみで生活保護の申請が認められるケースが多いです。しかしながら、家族が同居している場合、中々認められないのが実情です。

ここからは、家族が同居していても、福祉事務所が生計が別々だと判断してくれる可能性の高いケースをご紹介します。

ケース①:子供が大学等に進学する場合

生活保護受給中に子供が大学に進学するためには、アルバイトや奨学金により収入を増やし、学費を捻出する必要があります。
しかし、収入が増えると生活保護費が減額・打ち切りとなってしまい、本末転倒な結果となってしまいます。

そのため、福祉事務所では、生活保護世帯の子どもが大学等に進学する場合、”卒業までの間、保護を受けずに親と一緒に暮らすことが出来る。”という判断をします。
この判断により、生活保護を受けている家族と同じ家に住みながら、生活保護の対象から外れるということになります。

このケースでは、子供は生活保護世帯からから外れるため、健康保険にも加入する必要があるということに注意する必要があります。

ケース②:介護や長期入院により同居人の生活が圧迫される場合

介護費用や入院費用により家計が圧迫されたことが原因で、生活保護の受給が必要となる場合にも、世帯分離が出来る可能性があります。

母親の介護費用の負担が家計を圧迫し、生活が苦しい母子家庭(子は成人)を例に説明します。

この家庭において、母親と子供の世帯を分離した場合、母親個人での生活保護申請が可能となります。
そうすることで、母親の介護費用・生活費用を生活保護費で賄い、苦しい生活から脱却することが出来ます。

世帯分離を行う事によって介護費用の負担を軽減する事が出来るので、似た境遇の方は是非一度ご検討ください。

 

以上、主な2つのケースを今回はご紹介しました。しかしながら、上記のケース以外にも様々なケースが存在します。
ご自身の状況で世帯分離が可能かどうか、判断が難しい場合は、是非一度ご相談ください。

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